馬に目覚めた大学生

土日競馬場に孤独出没 競馬以外も無駄に語る

客から学ぶ、競馬場従事員エピソード①

自己紹介で書きましたが、

 

私は阪神競馬場でアルバイトをしています。

 

売店やレストランとかで働くのではなく、

 

緑の制服を着て、館内を巡回し、お客様に何かあったらすぐ対応に向かうような仕事です。

 

阪神競馬場お客様事業部機動班。

 

名前結構かっこいいっすよね。

 

JRA(日本中央競馬会)は、

競馬法により競馬を行う団体として、

農林水産大臣の監督を受け、

日本国政府が資本金の全額を

出資する特殊法人

 

つまり国が運営する

ギャンブルということ。

 

競艇・競輪も国が運営しており、

それぞれに【競馬法】と同じように

モーターボート競走法】と、

【自転車競走法】という法律が

定められている。

 

JRAには主に14の部署があり、

私が所属する部署が、

お客様の対応係にあたるお客様事業部。

 

組織図 - JRA

 

 

お客様事業部に勤める職員さんの部下という立場で、阪神競馬開催週の土日に働いている。

 

従事員は全員で20人程で、

年齢層は私と同じ年代の大学生と、

40・50代の先輩の方々との二世代で

すっぱり分かれる。

 

機動班は3・4人班を6・7班作って、

班ごとにローテーションで業務をする。

 

もう1年程働いているが、

この職場で色々なお客と対応してきた。

 

 

 

今日はある一人の客のお話をご紹介。

 

 

どこの場所でもそうだが、

公共の場では禁止すべき行為がある。

 

もちろん競馬場でも、

やってはいけない行為がある。

 

例えば、

・バットを使ったボール遊び

・ペットの持ち込み

・カメラのフラッシュ などがあるが、

 

その客(仮名・Aさん)はレース中の馬を、

観客席の最前列で、

自前の踏台に登って撮影していた。

 

馬を撮影する際に、

踏台に登って撮影する行為なども

禁止されている。

 

しかしAさんは、

以前他の競馬場でも、

何度も注意を受けたのにも関わらず、

その注意を無視し、

踏台を使って撮影し続けた。

 

結果、

これ以上他のお客様に、

迷惑をかけてもらっては困るということで、

出禁になってしまったのだ。

 

Aさんは私達の待機所に連れてこられた。

 

30歳代男性。メガネで濃いヒゲ。

目はギョロっとしていて、

松田龍平を5倍濃くした感じ。

(決して褒めてない。)

常に半笑いだったのが、

正直薄気味悪かった。

 

 

応対室で職員さんに『もうこれから全競馬場への入場禁止だから。』といった内容のことを伝えられた。(多分そう言われたはず。)

 

そしてお客様事業部の部長さんに、

ちょっときつめに釘を刺された後、

正門側から追い出された。

 

ところが10分後、

 

待機所の無線室に"さっき追い出したAが東門からまた場内に入って来た。"という一報が入った。

 

えっ、もう!!!???

 

待機所が少し沸いた。

 

『懲りんなぁ〜』と笑いながら話し合う先輩方は、どこか楽しげであった。

 

その日は阪神競馬場で行われる

二歳牝馬のGⅠレースであったため、

よっぽど見たかったのだろうと推測。

 

出禁になった客の顔と名前は記録され、競馬場内で働く全お客様事業部職員・従事員に顔と名前が伝達される。

 

なので、すぐにバレてしまうというわけだ。

 

私達の班は、

すぐに東門付近へ走って向かい、

先に到着していた職員さんと、

見つかったAさんと合流した。

 

Aさん曰く、『場内に忘れ物をしたので、取りに行かせて欲しい』とのこと。

 

職員さんは『これで忘れ物無かったら許さんぞ。』とかなりキツめな発言だった。

 

いつも優しい職員さんだが、迷惑客に対しては客に逆上されない程度に、低い声で冷たく対応する。

 

それくらいでないと、

また言うことを聞かずにやってくるからだ。

 

従事員の身分である私達には、

あれこれ発言する権利はないので、

静かに護衛するが、

 

職員さん『どこに荷物あるん?』

Aさん『出禁だけは勘弁してくださいお願いします。』

 

(いや、全然噛み合ってねぇ〜。質問聞いてねぇじゃん。)

 

ってな会話を長いこと続けていたので、

さすがにちょっと笑いそうになった。

 

何か職員さんが質問すると、

Aさんは全部『お願いします。』

の一点張りで返答するのに、

 

Aさんが荷物を落として、

私達が拾って渡しても、何も言わない。

 

職員さんに対しては敬語でも、

私達アルバイトには無視を貫く。

 

(別にいいけど、あんたが大好きな馬の写真、もう撮れないんだね。残念でしたね。)

 

と内心思いながら、

Aさんがバイクを停めている

東門の駐輪場まで同行した。

 

駐輪場に到着し、Aさんのバイクを見ると、青い車体のKawasakiの大型バイクだった。

 

カメラもCanonのボディに望遠レンズを二本持っているところから判断すると、

 

かなりお金を持っていると推測。

 

(それだけ好きだったんだね。はは。)

 

 

駐輪場に到着しても、Aさんは涙は出さないが職員さんに頭を下げ『お願いします。』と謝罪し続けた。

 

職員さんもさすがに

面倒くさくなってきている。

どれだけ『はい、帰ってよ。』

と言っても、返ってくる返答が

『お願いします。』ではなぁ。

 

『いやマジで迷惑だから。』

『警察呼ぶよ。』

 

(職員さん。怖いよ笑)

 

最終的にAさんの荷物を我々が

無理やり場外へ持ち出した。

 

Aさんもさすがに帰るかと思ったが、

場外に出ても、

職員さんに向かってお辞儀をし続けた。

 

しかしそのお辞儀は職員さんがいなくなると、すぐに辞めてしまうだろうなと思った。

 

この日以降Aさんを見ることは無かった。

 

やってはいけないことをやり続けた結果、取り返しもつかないような事態に陥ってしまうことはよくある。

 

出禁になるということは、お客様に迷惑がかかっているということを自覚しなければならないのだなと私自身も学んだのであった。

 

こんな感じで、ちょっと残念なエピソード多めですが、従事員をしていて学んだことや知識を紹介していきます。

 

皆様、競馬場にご来場の際は、

ルールを守って楽しく観戦しましょうね。